平成17年4月より大阪府立大学、大阪女子大学、大阪府立看護大学が統合され、新生府立大学(仮称)が誕生する予定です。大阪府立大学総合科学部と大阪女子大学理学部と大阪府立大学先端科学研究所の生物系の研究室とが合併して(新生)理学部となります。今回そのような研究室の一つである先端科学研究所・応用生体科学部門・人工生体組織研究分野、原正之教授に取材させていただきました。
 原教授の研究分野は近年最も注目されている再生医療です。機能的な生体材料(バイオマテリアル)の開発・実用化を目指して研究されています。再生医療といってもその研究手法は様々であり、こちらの研究室では生体材料学という新しい分野のもとハイドロゲル(寒天やゼラチンなど多量の水を含んだ弾力のある物体)を用いた生化学、PC12、NT-2などの神経モデル細胞の培養という細胞生物学、γ線によるハイドロゲルの架橋という放射線化学的手法というように最先端の技術を駆使しているといえます。
原 正之教授
 では、その技術をどのように組み合わせて研究が行われているかというと、ゼラチンやコラーゲンをハイドロゲルとしてγ線で架橋すると熱で溶解しなくなります。このゲルを生体に用いるわけですが、そのまま使用するのではありません。ゲルに様々な物質を閉じ込め、生体内で徐々に放出させることのできる生体材料を開発しようというのです。このようなシステムを実用化するには最適な条件や安全性を追求する必要があります。そこで神経モデル細胞を用いた実験が行われているわけです。神経細胞の増殖や分化を促進あるいは抑制する物質を閉じ込めたハイドロゲルの上で細胞を培養し、その影響を評価するというものです。
 再生医療といえばクローンや胚性幹細胞(ES細胞)を思い浮かべる方が多いと思いますが、まだまだ実用化には時間がかかりそうです。細胞と併せてその増殖や分化に影響を与える生体材料の開発が即戦力として期待されています。創傷被覆剤や人工骨など多くのデバイスは開発されていますが、細胞の増殖や分化に役立つ機能的な生体材料は未だ研究段階だそうです。原教授の研究は、21世紀COEプログラム「水を反応場に用いる有機資源循環科学・工学」にも参加されています。やはりこれからの時代は、新しい素材を開発するには環境問題を重要視していく必要があるのですね。





  非常に充実した機材、現役で働いている映画屋の先生。監督から、カメラマン、音響、美術、シナリオ、CG・アニメの先生まで、研究室に足を運べば何でも聞ける、一粒で十おいしい、我が映像学科の合同研究室を紹介したいと思います。
 雑居房、タコ部屋、スタッフルーム・・・、ここはどんなところですか? という質問に、そんな言葉がぽんぽんと飛び出た。現在の映像学科は、ほとんどの先生が個人の研究室を持っていない。学科長室すらない。
 学科長の鳥居元宏先生は、そんなものはいらないんだ、と語る。「一人でふんぞり返っていても、映画はできない。それぞれの専門の先生と生徒という縦の関係でなく、横のつながりを大事にしたから、こういう形にした」と、胸を張って答えてくれた。
 また、一番の古株、佐々木侃司先生いわく「一人で部屋に篭っていると、発狂しそうな連中ばかりが集まっている所」とのこと。「生徒も四回生くらいになると、凶悪なのが出てくる。授業に出ていないのに、教師をダマくらかして卒業していく。だけど、そういうヤツほど、大成して帰ってくるんだ」と言って、名物先生はおかしそうに笑った。
 元学科の学生で、社会に出て成功し、教える立場として研究室に帰ってきた先生も多い。
 昔の研究室はどんな感じだったのかと聞くと
「俺、あんまり大学に来てなかったから、その頃の研究室のことはおぼえてないなあ」と、佐々木先生の言葉を裏付ける証言がとれた。
 映像学科の基本になっているのは映画。映画は、外に出て自分たちで撮影してナンボのもの。だからここは、終始生徒が入り浸っているというタイプの研究室ではない。でも、社会に出て、プロになった時でも、ふと立ち戻ることのできる場所だと思う。
 先生方も学生に期待を寄せてくれている。生徒を同じ映画屋を目指す仲間としてみてくれている、その目はとても温かい。
 学生をキャストとするなら、先生方はスタッフ。被写体である生徒が一番輝いて社会に飛び立てるよう、最高のサポートしてくれる、そんな研究室です。


前のページに戻る  次のページ