「関西国際空港と関西の活性化に関する提言募集」
応募総数42通、受賞提言発表!!!

 南大阪地域大学コンソーシアムでは、関西活性化の拠点として多くの役割が期待されると同時に、様々な課題が課されている関西国際空港と関西の活性化に向けて、学術研究論文、政策提言、事業アイデア・企画など、幅広い視点からの提言募集事業を進めて参りましたところ、全国から合計42提言の応募がありました(募集期間:平成14年12月から平成15年3月7日)。
 厳正な審査による結果、以下の提言が最優秀賞、優秀賞、佳作に選ばれたのは、
以下の提言です。

 授賞式は、3月28日、関西国際空港エアロプラザ「水の広場」にて、とり行われました。桃山学院大学吹奏楽部の皆さんの音楽演奏の後、華やかな雰囲気に包まれるなか受賞者が発表され、ひとりひとりの受賞コメントと審査講評が述べられました。

桃山学院大学吹奏楽部

受賞者と審査員

授賞式会場の様子

賞状授与

関空マスコットかんくん

<受賞作品>
【最優秀賞】 1作(賞金30万円)
『関西"被"観光振興プロジェクトへの提案 〜「関西国際空港と関西の活性化」について〜』 吉原 仁美 
(且梛創造 代表取締役)
清水恵美子 
(且梛創造 取締役)
【優秀賞】 3作(賞金10万円)
『南大阪活性化20X0年のシナリオ』   志川  久 (竹中工務店)
『私の「関西国際空港と関西の活性化」案』 鈴木  勝 
(大阪明浄大学観光学部教授)
『関西の映像文化の育成、発信による活性化』 坂元  誠 
(兵庫県西はりま天文台嘱託研究員)
【佳作】 (賞品各1万円相当図書券)
『関西国際空港と関西の活性化について』 上本 和彦 
(大阪航空技術専門学校非常勤講師)
『「泉州産業と大阪観光の活性化」に関する提言』 森脇  宏 
(樺n域計画建築研究所)
『関西の観光空間化論』 神田 孝治 
(大阪市立大学大学院生)

<要  約>
【最優秀賞】 
 『関西"被"観光振興プロジェクトへの提案 〜「関西国際空港と関西の活性化」について〜』

吉原 仁美 
清水恵美子 
 関西国際空港の開港を「関西」は待望したが、今、両者の間には、確実にある種の“距離感”が存在している。文物が集まり、人やモノ、情報の交流量を増大させた関西国際空港であったが、まちとの関わりにおいては、“独立したクールな運輸インフラ”の域を出ず、人や資源を結び、耕し、創造する主体とはなりえていない。また、ネットワークや、まちづくりへの戦略的活用も十分なされているとはいえない。
 失業者の増加、産業構造の転換の遅れ、景気の長期停滞等、混迷を続ける関西は、これまで、魅力ある多様な資源が狭い地域に凝縮されたポテンシャルの高い地域と言われてきた。しかしこのまま、“永遠の高ポテンシャル・エリア”と言われ続けるのかどうか、今まさに試されていると言える。本案では、こうした関西の“潜在力”を“顕在力”に変えていく活性化のポイントを「関西国際空港を活用した“被”観光振興の視点」であると考えた。“被”観光振興とは、観光する人よりも観光される側の主体的な振興を重視するという考え方であり、「“個”を磨き、“まち”を育てるための観光振興」である。とりわけ、「まちの価値創造」「人材育成」「新規起業等のビジネス」等の側面において、関西国際空港は活用不足であり、まちとの間で、もっと踏み込んだ関係性が構築されてもよい。
 “被”観光の視点から見直してみると、関西国際空港は、単なる交通の結節点ではなく、西日本で最も国内外の多様な人々との異文化交流が体験でき、国際化時代に関西人の意識の底上げを行うきっかけづくりにつながる場所となる。また、身近な暮らしや文化、風俗などを再発見し、建設的な新しい関係づくりを行う端緒ともなりうる。
ここでは、まちや人々の生活・意識の向上と結びつき、活性化を実現するための “被”観光プロジェクトとして、大学生等による“「関西の歩き方」サイトづくり”をはじめとする7例を具体的に提案している。
【優秀賞】 3作
『南大阪活性化20X0年のシナリオ』  

志川  久 
 本稿では関西国際空港と関西の関係を、20X0年のシナリオとして描く。そして、そこから明らかになる未来像に基づき、3つの提言をまとめる。すなわち、関空と関西が一丸となり、「知のハブ」「集客のハブ」「ビジネスのハブ」という3つのハブを地域に形成することだ。
 開港当時、関空が大空に架けた夢は、今でも永遠だ。それはいわゆる3点セットの中で明記されている。実際、地元市民である筆者が、実感する関空効果は多い。人口の社会増、都市基盤の整備、地域イメージの変化などは、そのごく一部だ。
しかし長引く経済不況、競合空港の増加、公共事業への批判などが逆風となり、関空は負の遺産になりかねない状況だ。われわれには、関空を遺産にするのでなく、資産あるいは資本にして、地域の活性化に資することが求められている。
 また、21世紀になり新しい潮流が生まれてきた。グローバリズム、都市再生と構造改革、そしてスロー・デベロップメントともいうべき価値観、そして知的財産の重視だ。それらは新たな課題として、地域と関空に対応を迫る。
 20X0年のシナリオでは、地元の小学生K君の目から見た、未来の関空と周辺地域の姿を明らかにする。
 そのシナリオから、まず大学を中心として、ナノテク関連の新素材開発を軸にした知的財産エリアを形成する「知のハブ」づくり、またツーリズムによる東アジアからの集客を図る「集客のハブ」づくり、最後に大学からベンチャーをうみだす「ビジネスのハブ」づくりなどを提言。そのための関空市という特別行政市の指定も訴えたい。
『私の「関西国際空港と関西の活性化」案』 

鈴木  勝 
 21世紀に入りさらに「大交流時代」が進み、世界の旅行や航空輸送は拡大化の様相である。わが国の観光もこれに呼応し拡大基調にあるが、極端な“いびつ”形態にある。すなわち「日本人海外旅行者(アウトバウンド)1,600万人vs.訪日外国人(インバウンド)500万人(3:1ないしは4:1の比率)」である。この不均衡是正が国際交流面から、また日本の経済活性化面からも、近年、急速にクローズアップされている。本論は関西空港と関西の活性化を論ずるが、これらの活性化なくしては日本の“観光いびつ”の是正と、日本経済の活性化がないとの立場にある。さて、日本経済や観光動向を見ても、東京圏一極集中化がさらに強まっている。この時期に関西空港と関西の活性化への手法、同時に、均衡ある観光大国・日本を追う手法を提言したい。第1に、関西空港の活性化なくしては日本観光全体、特にインバウンド観光の振興はない。成田・羽田空港による東京圏一極集中化は当面は持ちこたえるが、年間1,000万人以上の外国人を着実に訪日させるには難しく複数の拠点化が不可欠。したがって、関西空港は名実ともに日本のゲートウエイにならなければならない。そのため「国際拠点」であるとともに「国内拠点」空港を目指すべきである。第2に、関西・関西空港の活性化に向けて「グレーター関西ツーリズム州」構想を提言したい。州観光大臣、州観光局を設置し種々の観光振興策を行なう。「宣伝販促」「外国人渡航緩和策」「インバウンド企業/起業支援策」「海外企業・外国人による訪日旅行ビジネス誘致策」「関西空港利用増加策」「人材育成・登用(「外国人マネジャー・女性ホスピタリティ担当」「ガイド・通訳・レンジャー」「州立観光大学設立」などである。観光振興手法は1つや2つで十分という決定打はなく、種々の仕掛けの積み重ねであると考える。
『関西の映像文化の育成、発信による活性化』

坂元  誠 
 日本経済の仕組みは製造業に大きく頼ってきた。それは関西も同じである。しかし、景気が低迷し個人消費が落ち込んでいるうえに、中国をはじめとした周辺諸国とのコスト競争には対抗できない状況である。一方、環境問題に対する配慮は一般家庭に浸透しつつある。これはとりもなおさず、工業製品などへの消費を押さえ込むことになるだろう。今が製造業に大きく頼ってきた構造を切り替える時期ではないか。
 関西には活性化をもたらす要因、活性化要因は多く存在すると考えている。ここではそのうち、映像製作を取り上げて、関西空港周辺への映像製作会社を誘致し、それを核にした映画・テレビドラマ制作拠点作りを通した活性化を提案したい。
 関西活性化の手段として、ここ数年で到来するブロードバンドネットワークおよび、デジタルテレビ多チャンネル時代で確実に需要が伸びる映画・テレビドラマといった映像コンテンツというソフト製作産業に乗り出すべきである。その素地は技術力も人材育成機関も関西には備えられている。
 活性化を語る上で本質的に大切なのは息切れしてはならないように配慮していくものだということだ。活性化とは生き物のように、自己再生、世代交代していける状況を目指すべきだ。金回りだけをもたらす観光施設にそれを求めるのはむずかしい。むしろ、経済活動を通して技術力・文化の育成がなされるような対策を考えていくべきである。その点、文化を創り、文化を創る人を育てる、そんな映画・テレビドラマ製作拠点構想はこの要求を満足するものである。