南大阪地域大学コンソーシアムは、平成14年7月、南大阪地域の大学が連携して、地域全体の教育・学術研究機能の向上を図るとともに、その成果を地域社会に還元し、地域の発展に貢献することを目的に設立されました。昨年12月には特定非営利活動法人の認証を取得し、「シンボルマーク募集」、「研究者年鑑の作成」、「関西国際空港と関西地域の活性化に係る提言募集」、「インターンシッププログラム」、「学生ベンチャースクール」、「南大阪地域講座」など、学生・大学等関係者のみならず、地域住民や企業等を幅広く対象とする事業を展開しています。徐々にではありますが、コンソーシアムの名前が地域社会に浸透してきているものと確信しております。
1990年代は失われた10年といわれますが、21世紀を迎えても、わが国の経済情勢は未だその低迷から抜け出す兆しが見られません。一方、急速に進む国際化、少子・高齢化、情報通信技術等に代表される技術革新、雇用形態の変化、地球環境問題と大量生産大量消費からの脱却、価値観の多様化など、わが国の社会環境は目まぐるしく変化し、しかもその速度は年々増大しています。
こうした変化に対応するため、行政・産業等の各界で改革が必要とされていますが、大学もその例外ではありません。18歳人口の減少が続くなかで、近年は大学進学率(18歳人口に占める大学・短大入学者数)が約50%にもなり、「全入時代」の到来が予想される一方、若者の学力低下が懸念されており、社会の求める人材を輩出することは、大学にとってますます重要な課題となっています。さらに大学は、社会人教育や生涯学習ニーズへの対応、学術研究機能の向上と地域社会への還元、産学連携、国際競争力の強化など、大学相互や地域社会、産業界等とのつながりのなかで対処していくべき様々な問題に直面しており、今、これらに戦略的に対応して自らを変革する力が求められているのです。
南大阪地域(大和川周辺地域以南)には32の大学および短期大学が立地し、学生数約6万人、教員数約3000人を擁します。学部・学科は多分野にわたり、特色あるものも少なくありません。これらは地域の貴重な資産であるといえますが、今日まで地域の活性化に充分活用されてきたか疑問があります。
例えば産学連携も、大学や企業の研究者個人の努力とネットワークに頼るものが多く、組織的・包括的な連携体制は不充分です。「大学に相談したいが、敷居が高い」といった中小企業の方々の声にも耳を傾けねばなりません。また、社会人のスキルアップ意欲や生涯学習意欲に対応する公開講座等は各々の大学で積極的に行われていますが、さらに一歩ふみこんで産業界や自治体、各種団体等との連携を図り、多様な専門分野を有する総合力を活かして地域の教育・勉学機能の向上に貢献していくことも必要となっています。
元来、南大阪には、多くの歴史・文化的遺産や産業技術の集積があります。また関西国際空港をはじめとする社会基盤や、研究開発・交流等の産業基盤施設の整備も進んできました。このような優れた地域ポテンシャルは、南大阪地域の大学が協働してコンソーシアムの活動を推進していくうえで力強いサポートとなります。国の玄関口である第一種空港を地元に有することで、世界との知的交流の推進に強みがあり、大学を核とする地域の国際化にも期待がかけられます。
南大阪地域大学コンソーシアムは、大学連携の場としてその活動を一層拡大・活発化し、地域全体の教育・学術研究機能の向上を図っていくとともに、南大阪地域の人、まち、文化、産業等の交流促進の核として、地域の発展につくしてまいります。そして、本コンソーシアムの活動が南大阪からの新しい風となって、21世紀の関西地域や日本社会を知的活力と創造力で再生する一助となるよう願うものです。
このため、関係諸大学の皆様にはコンソーシアムの活動への積極的なご参加を期待するとともに、関係諸機関、地域の皆様には、今後とも一層のご支援・ご協力をお願い申し上げる次第でございます。
平成15年 新春
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