「学ぶこと」と「働くこと」
キャリア教育をわかりやすい一言で表すこと。
「学ぶことと働くことを積極的に結び付けようとした教育」とするケネス・ホイト(米)のキャリア教育観は、もっとも共感するキャリア教育の定義と映る。
そこで、このホイトに倣い、キャリア教育を「「学ぶこと」と「働くこと(あるいは生きる営み)」の接合点を見いだす教育」と表現したい。
これは、南大阪地域大学コンソーシアムモデルによるキャリア教育の特徴だという人がいるかもしれません。しかし、中教審の答申にみられるように、生きる力を育成することを大きな目標の1つとしているのであれば、この定義との親和性は高いのです。
「学ぶことと働くことを接合する教育」とは何をさすのでしょう。それは、「学ぶ」という側面から捉えると、「学んできた知識等を社会で活かすことができる能力に変換させる教育プログラム」であり、「働く」という側面から捉えると、「個人と社会を「働く」というタームを媒介にしてつなぐ、つなぎ方を子ども自身が考え学ぶ教育プログラム」と言い換えることができるでしょう。“Scool to Work”です。
このような捉えかたをしたキャリア教育のプログラムには、働くことを所与のものとせず、「社会の中の一人の存在として何ができるのか」、そのことを子どもたち一人ひとりが考えるようになるプロセスが組み込まれています。そして、働くことは「社会の中で自分を活かす方法の1つ」であり、働くことは「社会を活かす方法の1つ」であることを知り、働くことは「社会とつながる1つの方法」であることに子どもたち自らが思いいたります。その結果、「何のために学ぶのか」、「何のために働くのか」に対する一定の答えを子どもたち自身が自ら導き出すことになります。 キャリア教育のプログラムの中に組み込まれたこうしたプロセスが、「次につながる教育」になっていると実感しています。
Education for the Future
少子高齢化社会を迎える今の社会だからこそ、一人ひとりの能力向上が期待されます。豊かな社会だからこそ、働くことの意味が問い直されます。こんな時代だからこそ、個人と社会の関係が気になってきます。現代的キャリア教育が問いかけてくるものが、そこにあるのです。